2022年7月に発売されたAPS-Cサイズセンサー搭載のミラーレス一眼カメラEOS R10。2025年の今なお売上ランキングでは上位にランクインする人気ぶりだ。何を隠そう私も2023年に初めてカメラを買ったときに選んだのもこのカメラとレンズのキットだ。比較的安価なエントリーモデルにも関わらずスペックに妥協は見られない大盤振る舞いだ。今回はこのカメラの魅力を作例をご覧いただきながらお伝えしたい。
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スマホとは違う写真が撮れる大きなセンサーを搭載
R10はAPS-Cサイズのイメージセンサーを搭載している。これがどのぐらいの大きさのセンサーかというと、ハイエンドスマホのカメラに搭載されているセンサーはおよそ1/1.3インチであり、APS-Cサイズセンサーはこれに対して約4倍の面積がある。センサーサイズが大きいと以下のようなメリットがある。
- 背景を大きくぼかした立体感のある写真が撮れる
- 暗い場所でも綺麗に撮れる
- 単純に画質が良い
ざっくりといえばこんな感じ。平たく雑に言えばスマホとは違う写真が撮れるということだ。みんなが撮っているスマホ写真に差をつけたければ大きなセンサーが搭載されたカメラを買うべし。被写体の前後を大きくぼかした奥行きのある写真が撮れるのがカメラ強みであり、写真の醍醐味の一つである。




上位機種顔負けのオートフォーカス&連写性能
いくら良いカメラを持っていても撮りたいものにフォーカスが合わせられなければ意味がない。SDカードに記録された大量のピンボケ写真を見て涙する事態は避けたいものだ。
しかし安心して欲しい。R10には上位機種EOS R3と同じオートフォーカスアルゴリズムが搭載されている。したがって、被写体の検出、トラッキング能力は上位機種と同等の素晴らしいものである。撮りたいものにカメラを向ければ素早くフォーカスを合わせて粘り強く追いかけ続けてくれる。
さらに、R10は高速連写撮影が可能だ。メカシャッター時の最高速は秒間15コマだ。これはCanonのフラッグシップ機EOS R1をも凌駕する性能だ。同じくCanonのEOS R7と並んでEOS Rシリーズトップであり、ミラーレスカメラ市場全体で見てもこんなスペックのカメラは他に存在しない。正直なぜこんなにハイスペックなのか、理解不能である(褒め言葉)。このスペックを持ってすれば決定的瞬間を撮り逃がすことは無いだろう。素早く動く動物の撮影もお手のものである。(筆者のフレーミングがイマイチなのはご愛嬌だ)




これは興味がなければ読み飛ばして欲しいが、カメラのシャッター方式には大きく分けてメカシャッターと電子シャッターというものがあり、前者は物理的な幕によってセンサーに当たる光を制御するのに対して、後者はそれを電子的に行う。両者の詳しい特徴に興味があればてめえでお調べいただければと思うが、電子シャッターで動きの速いものを撮影すると被写体が歪んでしまう可能性があるが、メカシャッターではその心配は(ほぼ)無い。電子シャッターであればさらに高速のシャッターが切れるモデルも存在するが、常に動体歪みのリスクがつきまとう。だから、メカシャッターで高速連写ができるというのはすごく価値のあるのものなのである。
ちなみにCanonのR1を含めて各社のフラッグシップ級のモデルには高性能のセンサーが搭載されており、電子シャッターでも動体歪みの発生は抑えられている。つまり、総合的な連写性能では、当たり前だが、フラッグシップモデルの方が優れていることは記述しておきたい。
高性能なキットレンズRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM
R10のキットレンズとして設定されているレンズRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM。このレンズは正直言って最初の一本として最高だ。同じくキットレンズとしてRF-S18-45 IS STMも存在するが、断然18-150mmのこのレンズがおすすめだ。おすすめする理由は大きく分けて以下の2点からだ。
便利な高倍率ズーム
このレンズの焦点距離は18mm~150mmと8倍以上のズーム倍率であり、広角から望遠までこの一本で撮影することができる。ちなみにレンズの焦点距離はフルサイズ基準で記載されているため、APS-Cサイズセンサー搭載のR10と組み合わせると、実質的な焦点距離は約29mm~240mmとなる。「フルサイズ換算」について詳しく知りたかったら自分で検索してみてくれ。案ずるな。すぐに答えに辿り着ける。
最近のスマホのカメラはレンズを複数搭載して幅広い焦点距離に対応しようとしてきているが、依然として望遠域の撮影は苦手である。光学的にズームすることをあの小さいレンズで実現するのが難しいため、デジタルズームやAIによる補完に頼っているのが現状だ。スマホでも写真が撮れるのにわざわざカメラを買うのであれば、まず望遠レンズを手に取ってみてほしい。確実にスマホとは違う写真が撮れるし、確実にカメラにのめり込むことができるはずだ。
美しい景色を広く切り取るのも、遠くにいる猫ちゃんを大きく写すのもこのレンズ一本でほとんど事足りる。R10にこのレンズをつけて持って出かければ、いつもの散歩道もより魅力的に、旅先での思い出はより鮮明に写し取ることができるだろう。




高い近接撮影性能
高いズーム倍率で遠くのものを撮れることを紹介したが、このレンズは高い近接撮影性能も併せ持っている。焦点距離を35mm、フォーカスをマニュアルフォーカスに設定すると最短撮影距離は12cm、最大撮影倍率はフルサイズ換算で約0.8倍となる。「最短撮影距離」は被写体にどれだけ寄れるか、「最大撮影倍率」は被写体をどれだけ大きく写せるかを示す数値なのだが、例の如く、詳しく知りたかったら各自でググってくれ。ざっくり言えば、このレンズのこれらのスペックはマクロレンズ並みだ。これは過言なのだが、顕微鏡を持ち歩くことができると言っても良い。被写体の近くまで寄って、大きく写す、ダイナミックな表現もこのレンズではお手のものだ。肉眼では見えないところまで撮れる楽しさもこのレンズで体感することができるだろう。




と言った具合に、高いズーム倍率と高い近接撮影性能を併せ持つこのレンズさえあれば、手元のものも遠くのものも自由自在に撮ることができる。本当にこのレンズは優秀だ。カメラの楽しみを体感するのにこれほど最適なレンズは無いだろう。
まとめ
EOS R10 RF-S18-150 IS STM レンズキットはミラーレス一眼カメラデビューの一台として自信を持っておすすめできる。ただ一点気をつけなければいけないのは、このカメラを買ってしまうとカメラ・レンズの楽しさを存分に体感することができてしまい、「もっと良いカメラを、、、」「もっと良いレンズを、、、」と、深い深いカメラ・レンズ沼へと足を踏み入れることになってしまう危険性があることだ。事実、筆者がこのカメラを買って以降にカメラ・レンズに費やした額は恐ろしくて計算する事はできない。そのぐらいこのカメラは魅力的であり、趣味(沼)の入り口として最適であるということだ。このカメラを買って後悔する事はないだろう。どのカメラにするか迷っているのならこのカメラを手に取ってみてほしい。きっとあなたもこの世界の素晴らしさに気づくことができるはずだ。深い深い沼の底であなたを待っています。
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